─侵食─悪魔のような男
麗子が部屋を出ていき、劉兒が屋敷に着く頃ユウリは目を醒ましていた。
「……んっ」
身体が重い…
あれ…あたし…何で…?
重い身体をぐっと起こし、ふるっと首を振った。
ぼやけた視界もクリアになり、辺りを見渡すと一面の薔薇で埋め尽くされていた。
「うわっ…すごっ……」
ユウリの最も好む薔薇の香りが、むせかえる程漂っている。
「酔っちゃいそう…」
うっとりとして香りを吸い込めば、まるで自身が薔薇になったかのような感覚に陥る。