─侵食─悪魔のような男

「大学に入る前に…お前は"天城ユウリ"になる」



「えっ?…それって…」



「結婚するんだ」



「ええっ…結婚…」



「何だ嫌なのか?まぁ嫌っていってもするんだけど」



劉兒はユウリの髪を撫でながら、当たり前のように言ってのけた。



何となく不機嫌なユウリに気づいた劉兒は、「そんなに嫌なのか?」と低い声で言った。



その声に一瞬ビクンとしたユウリだが、小さく口を開いた。



「…違うの…そうじゃなくて…あの…その…」



もごもごと喋るユウリに劉兒は「なんだよ…」と顔を覗き込んだ。
< 356 / 434 >

この作品をシェア

pagetop