─侵食─悪魔のような男

瞳は潤み身体が火照り出す。



もっともっと互いを感じたくて、舌を絡ませあおうとした時だった。



「ごっほん…」



と運転手が頬を染め咳払いした。



「……やだっ…あのっごっごめんなさい」



我に返りばっと劉兒から離れると「ちっ」と舌打ちが聞こえた。



「あたしったら…」



熱くなった頬を両手で押さえ、俯いたユウリとふてくされた劉兒に運転手は冷や汗を流し、ちらちらと目をやる。



放っておけばこのまましてしまうのでは?と言わんばかりの甘い雰囲気だった。



「ふぅっ…」



小さく息をつき、運転手は車を走らせ続けた。
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