─侵食─悪魔のような男

「もう逃げ出したりすんなよ?」



ふっと笑う一也に、ユウリは答える。



「もう大丈夫…あたし覚悟決めたから!!」



瞳をキラキラと輝かせ、堂々と言ってのけたユウリを複雑な表情の咲が見つめる。



「ユウリっ何かあったら直ぐ言ってね?何時までもあたしは友達だよ!」



「咲ー」「ユウリ」と抱き合い瞳を潤ませた。



「ユウリちゃーん♪」と、甘ったるい声で呼びながら麗子が近寄る。



その後ろからやれやれ、と言う表情を浮かべてやってくる男性。



ユウリに頬擦りする麗子を引きばかし、男性は言った。



「ユウリさんはじめまして劉兒の父の陽輝です…結婚式がはじめましてなんて…親として申し訳なく思うよ、本当にすまないね…」



苦笑いを浮かべて申し訳なさそうに言う陽輝は、劉兒とよく似た顔立ちをしていた。
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