─侵食─悪魔のような男

「みんなっ…ありがとう…ふえっ…」



心の底から嬉しくて、押さえきれない感情は涙となって溢れだす。



劉兒は皆の輪に近づくと、ユウリに手を伸ばしそっと引き寄せる。



「ぐすっ…りゅ…うじぃ…」



美しさの中にみえる、少女のあどけなさ。



「ユウリ…お前は今…幸せか?」



「……うん」



濡れた睫毛をキラキラ光らせ、とびきりの笑顔で頷いてみせたユウリ。



「…つっ……そうかなら俺も幸せだ」



そう言って劉兒はフワリとユウリを横抱きにすると、歩き出した。
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