─侵食─悪魔のような男

劉兒の低く掠れた声…甘い囁きはまるで呪いのようだった。



「僕と帰ろう…」



うっとりとしたユウリは、コクリと頷き部屋を後にした。



気が付くと劉兒に連れられて彼のマンションのエレベーターに乗っていた。



どこをどうやって通ってきたのかすら解らない程だった。



夢うつつだった…



…何であたしこんな所に?



チラリと劉兒に目をやった。



「んっ…なに?もう着くからねっ」



優しく微笑む劉兒に少し安堵したが、さっきの男の声を思い出し震える身体を自分で抱き締めた。
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