─侵食─悪魔のような男

棗が産まれてから思うようにユウリに触れられない…



劉兒は感じていた、息子からの敵対心と嫉妬心。



ユウリの隣に並べば間に割り込み、何かと俺をユウリから遠ざけたがる。



そこで俺は考えた、あいつにユウリと同様のモノを与えればいいのだと。



「棗…ママに似た可愛いお人形が欲しくないか?ママとパパが仲良くすれば手に入るけど…どうだ?」



「にんぎょうなんかいらないよ」



「棗の妹だよ?可愛いだろうなぁ…お前に甘えてくるんだぜ"おにぃちゃん"ってな?」



棗はゴクリとつばを飲み込んだ。



「…反応がおっさんだな」



「おにぃちゃん…あまえる?なつに?いもうとが?おにんぎょう…」



棗はぶつぶつと何か言いながら、子供部屋へと消えていった。
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