【企】携帯水没物語
「どうなのよ、この差は」
あたしはリュウタの携帯に嫌味いっぱいに悪態をついた。
リュウタがナナミに買った指輪は2万。
ナナミがリュウタに買ったジャケットは8万。
「キミが怒る気持ちはわかるけど、素直に買っちゃうナナミにも問題があるよ」
「だからナナミは男に免疫がないのよ!説明したでしょ!」
「そう言われてもボク達はただの携帯だよ?何が出来る?」
「ぐ…」
そう言われると何も言えない。
所詮あたし達は携帯。
人間じゃないから何も出来ないけど。
「でも、今日だって高そうなイタリアン食べて会計の時に財布忘れたって嘘に決まってるじゃない」
「まぁね。事実リュウタは待ち合わせ前にタバコ買ってるしね」
「でしょ?何でその時にあんたが注意しないのよ」
「どうやって?」
そうよね…どうやって注意するかなんて出来るわけないわ。
わかってるけどこのもどかしい気持ちをどうすればいいの?