キミの名を呼ぶ
「・・・お前は俺の事嫌い?」
意味などなかった。
ただなんとなく呟いた言葉に、君は大きく瞳を揺らした。
ぐっと何かを堪えるように、唇を噛みしめて。
眉を寄せて何かを俺に訴えようとする、瞳で。
「嫌いな訳、ない・・・なんで?なんで、そういう事ばっか・・言うの?」
今まで崩れなかった顔を、今度は激しく変えて。
悲痛に近い声を出して、君は俺に強く言い放った。
あまりの凶変に俺は言葉が出なかった。
君の笑顔を剥がしたいと思ったのは事実。