【BL】愛してるの過去形
(可愛い子だったなぁ……)
放課後になって僕たちは近くのファミレスに入った。
嫌な予感、は当たっていたようで"紹介したい人"と言うのは竜哉の"彼女"だった。
「俺の彼女の」
「大野 梓です
竜哉からよく話は聞いてるの
よろしく、晴紀君」
梓さんはすごく女の子らしくて、可愛い人だった。
隣町の女子高に通っていて、竜哉とは付き合って3週間くらいらしい。
「あ、うん
よろしく」
「お前には、1番に紹介したくって!」
笑顔で言う竜哉が、僕にはまぶしかった。
いつもは好きなその笑顔。
だけど僕にとってそれはとても残酷なものだった。
胸がチクチクと痛んだ。
2人と別れた僕はそのまま帰路へ着いた。
これが高校2年の夏の出来事