契りの歌
こちらを振り返った土方さんに、書類を渡しながら口を開いた。
「あの、この書類のここの部分何ですけど、文字抜けてませんか?」
私の言葉に驚きながらも、書類に目を通す土方さん。
「本当だ。
助かった、花音。」
「いえ。」
直された書類を私に渡しながら、土方さんは不思議そうに聞いてきた。
「確かお前、字読めなかったんだよな?」
「はい。
でも、山南さんに頼んで読み書きを教えてもらったんです。」
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