契りの歌



さくらの所に着くと、
幹に背を預けるようにして座り、少し話しをしてそれから私がギターを弾いて歌う。



時々木に登ったりして、野原を眺め風を感じる。





それが定番になっていた。






私が歌っているときにはほぼ毎回、遠くのほうに人の気配がする。





噂によると私は、格好とかその他いろいろで

"謎の歌姫"

とかって呼ばれてるらしい。




だからみんな聞きに来てるんだと思う。




でも、私が何者かわからないから怖いらしく、誰も近寄ってこない。






そんなことにも慣れた今日この頃。






この日もいつも通り、お店の手伝いを終えてさくらの所へ行く準備をしていた。







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