契りの歌




「なら、私が案内しますよ。」




「お前は午後巡察だろ。」



「えー。」




「はあ、平助、永倉。お前ら今日非番だよな。悪いが、花音案内してくれないか?」




「いいっすよ。」


「もちろんっ」





仕事を放棄して案内をしてくれようとしていた沖田さんに変わり、藤堂さんと永倉さんが案内をしてくれることになった。






「花音、ゆっくり食べても案内する時間はまだまだあるから、よく噛んで食べろよ。」




「はい。ありがとうございます。」





永倉さんが、ほんの一瞬だけ、お母さんに見えた。


小さい頃はよく、お母さんに言われていたっけ。それを永倉さんに言われるだなんて。


自分はご飯を噛まずに飲み込んでいるんじゃないかと思うくらいなのに…


ちょっと、面白い。






*
< 62 / 190 >

この作品をシェア

pagetop