契りの歌





───…





屯所の中を案内してもらうのに、ゆっくりまわっていたためか思ったよりも時間がかかった。





途中平隊士に遭遇することもあったけど、そこは永倉さんと藤堂さんのおかげで、私のことについてあまり触れられることはなかった。






「どうだった、花音?」



「結構覚えるの大変そうです。」


「そうか。まっ、ゆっくり覚えろ。その内、目を瞑ってでも歩けるようになるさっ。」



「そうだぜ。分かんなくなったら、遠慮せずに俺達に聞いていいしさ。」



「はいっ。今日はありがとうございました。永倉さん、藤堂さん。」





2人といた時間はとても楽しかった。


久しぶりに、自然と笑顔になっていた気がする。





「おうっ。」





「あっ、なぁ花音。俺のことさ、平助って呼んでくんない?」




え……?





「…いきなりですね。」






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