新時代神話
「うん、おやすみ。」

バフッ、

常盤が布団をかぶる。

バサッ、

幸大が布団を剥ぐ。
「待て、此処は俺のベッドだ。」

「そのくらい知ってるわ?」

「なら、何故此処で寝ようとするんだ?」


「当然、一緒に寝ようかと思って。」


「さっさと出て行け!」

「あの時の夢を見たんでしょう?」

「何故?」

「私の名前を呼んでたわ。

悲しそうな顔で、何回も。」


「だからなんだ?さっさと部屋に戻れ。」


「私は、貴方に、悲しそうな顔で名前を呼ばれたくないの。」


「解ったよ。」


「今夜は、一緒に寝ても良いかしら?」


「お前は餓鬼か?」

「幸大には夢の中でも笑っててほしいの。


私がいれば、恐い夢なんか見ないでしょう?」



「………。

勝手にしろ。」


「ありがとう。」




「なぜ、目を閉じないの?」

見つめ合う形で横になり硬直状態が続く。


「お前の顔が、う、美し、」

「ありがとう

おやすみ。」



しばらくして寝息をたてる。


「ありがとう。常盤。」


そっと、長い黒髪を左手で撫でる。


右手は朝まで繋がれていた。
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