How to win the Game


チャイムが鳴る。


始業のチャイムだ。


そう、確かに始業のチャイムなんだけど。


「・・・嘘でしょ」


「予想はしていましたね」


いつもであれば、始業のチャイムが鳴る頃には、


必ず他の誰かが来るはずなのに。


私が呆然としていると、先生が、私の座る席から1つ席を隔てた席の椅子に腰かけた。


「むしろ誰も来ないと思っていたから、厚めの本を今日は持ってきていたのに」


ため息交じりに呟く先生の顔は相変わらず無表情。


・・・だけど、何だろう、真面目に出席したのに、今ちょっと嫌味言われたよね。


「私が出席したのがイケナイってことですか?」


「真面目に出席したところで評価が変わる訳ではないですからね」


なによなによ!


私せっかくゴールデンウィークなのに、


実家からわざわざ帰ってきているのに、


そういう言い方って!


頭に来て思わず立ち上がると。


「・・・仕方ありませんね。とりあえず人のいる所に行きましょう」


先生も立ち上がり、教室の出入り口へと歩き始めた。


状況がイマイチ理解できず、その場で先生を見ていると。


「早く来なさい」


はっと我に返り、私は先生の傍まで歩いた。



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