How to win the Game


ちょっとムッとしながら先生の後ろをついて歩いていると、


何故かそのままキャンパスをでることになった。


「先生、どうして構内から出てしまうんですか?」


「男性講師と女子学生は2人きりになってはいけないという決まりがありまして」


昨今の大学教授によるセクハラ問題を受けて、


研究室で2人っきりの時はドアを開放しなければならないし、


教室でも2人っきりになってはいけないらしい。


先生がそう説明しているのを聞きながら歩いていると、


エリーゼの前にたどり着いた。


「・・・まだ開店前ですね」


時刻は朝の9時20分。


お店は10時45分に開店、と看板に書いてある。


「あ、先生」


私はうっかり忘れていたことを思い出した。


「この前、お会計、私の分・・・」


そこまで言いかけると、先生はさえぎるように、


ふいっと後ろを向いて歩きだしてしまった。


・・・なんだろう。


珍しい反応だな。


嫌味の1つや2つ、返してくれたって。


なんか調子狂うなぁ。


何故か嫌味を言われなかったことに不満を抱きつつも、


私はまた先生の隣まで小走りで追いかけた。


< 114 / 142 >

この作品をシェア

pagetop