How to win the Game


確かに、私が手にした本は洋書だった。


だけど。


分厚いと思っていた本は、実はそれ1冊だけではなく。


「これ・・・」


その背表紙には見覚えがある。


私は、洋書の下に積まれていた本を手に取ってみた。


2冊、同じ背表紙。


「“論理学トレーニング”だ」


あれ、私、確か先生にメールはしていないはずなのに。


どうして。


「キミは熱心な学生ではないと思っていたので、


おそらく忘れているのかもしれない、と考えたからだ」


「せ、先生!」


先生は腕を組んで、元座っていたソファに腰かけた。


「しかし、どうやらキミは私の本を読んだようだね」


「え」


「さっき議論した印象では、以前よりまだまともに論理が組み立てられていた。

また、以前より接続詞を大切にしている印象を受けた」


そうだ。


先生は第1章で、接続詞について書かれていた。


そこには、


“接続詞は論理の基本中の基本であり、最も重要な部分”と述べられていた。


さすが先生。


やっぱりプロなんだなぁ、と実感する。


「本は借りたのか?」


「いえ、買いました」


コーヒーを口まで運ぼうとする手が止まり、先生が私をまじまじと見つめる。


「なぜ?」


「勉強しようと思ったからです」



< 118 / 142 >

この作品をシェア

pagetop