How to win the Game
「はは。まぁ、何となく想像はつくな」
末永先生は、さも想定の範囲内というようなリアクションしか返してくれなかった。
「で、君はどうするの?」
「私は、これしか取れないので、取らざるを得ないのですが」
「はは、・・・そう」
何かを思い出しているような、そんな難しい顔をしながら、しばらく末長は黙っていた。
私は必死になってワンピースに出来たシミを、タオルで叩き、
咲は、恥ずかしさを押し殺そうと、水をぐびぐび飲んでいる時、
末長先生が、一言呟いた。
「今日の授業のトピック、・・・『愛』だった?」
「え?」
「違う?」
突然、どうしてピンポイントにそんなことを言うのだろう。
不思議ではあったが、特に気にとめもせず、今日の授業について話す。
「いえ、今日は『感情』について、思うことを書け、と無茶振りをしてきました」
「そう、それは良いね」
気のせいだろうか、
私の返事を聞いた途端、末長先生がやたらと楽しそうに見えた。
今にも鼻歌でも歌いそうな、そんな雰囲気すら漂わせている。
私と咲は眼を見合せつつ、お互い、別の話題を探すのだった。