How to win the Game
咲が何を持って羨ましいのかはわからないけど、
多分、私は恋愛には積極的な方だろう。
好きになれば、こっちからアタックするし、
今まで付き合った人は、思えばほとんど自分から告白した気がする。
今は、残念な事に、先月に彼氏の二股が発覚して、
別れたばかりだけど。
「もっとさぁ、積極的に行こうよ。うちらもさ、来年には卒業だよ。
先生と付き合いたいなら、今しかないし。先生、結婚してるの?」
「ううん」
切なげな横顔が、女の私ですら見惚れてしまうぐらいに綺麗。
その、どこからともなく漂ってくる儚さに、思わず力を添えたくなる。
私も、恋愛中じゃないからなのか、
何となく持て余しているエネルギーを、何かに向けたかった。
「じゃあ、チャンスじゃん!ねぇ、これからさ、先生に時間あれば、
お昼とか、研究室に行ったりしようよ」
「え、えぇぇぇ!?」
驚いて立ち尽くしている咲の右手を強引に引っ張って、
私は前へと進む。
「よし、そうと決まれば、先生に連絡しとかなきゃね。メアドは知ってるの?」
たじろぐ彼女は、小さく頷くのが精いっぱいだったらしい。
「じゃ、今日中に連絡しよう。ほら、行くよ」
ぐいぐいと前へ歩き進む私は、ある場所へと向かっていた。