How to win the Game
「何よー、アイツ。そもそも誰なのよっ!?」
「・・・うーん、どっかで見たことある気がするんだよね」
「だから、一体誰なのよ!」
結局喫茶店に立ち寄ることにしたが、
さっきからその繰り返しだった。
「確かにね、私が悪いよ、よそ見したし。でもさ、あんな嫌味言わなくても」
ずずーっと熱い紅茶をすすりながら、
私は咲に同意を求める。
「うーん、そうだよねぇ」
しかし、咲はイマイチ反応が悪い。
代わりに。
「あの人、・・・どっかで見たことあるんだよね」
そればかりを繰り返していた。
「どんな人よ!今度見かけたら、絶対に文句言ってやるから」
「うーん、えっとねぇ、目がぱっちりしていて、背が高くて、
髪は無造作な感じ・・・天然パーマかな・・・
だったけど、・・・服も、何かシンプルだったよ。
長袖の大きめの白いシャツに、ジーンズだったし」
「誰よ、そんなんじゃ分かる訳ないじゃない!」
「怒らないでよ!そんなこと言われても困るし」
お互い大声になり過ぎたのか、少し周囲の視線が痛い。
私たちは、少し俯き加減に、互いの頼んだ飲み物をすすった。