kiss☆して? ダーリン☆
アタシは大きく深呼吸をする。
そして、洗面所いっぱいに水を溜めた。
「……笑え、アタシ」
アタシは自分に言い聞かせる様に、鏡の自分に笑いを作る。
そして、洗面所いっぱいに溜まった水を掬い、顔を洗った。
「沙希〰〰っ! 出て来てよ~! 沙希の可愛い顔みたいなぁ?」
「……颯太」
「あぁ゛―――っ! もう悪かったなぁ!」
「……颯太」
「っ! ……わ、悪かった。 だから出て――「はぁ~い! 謝ってくれたから許す! 素直になればいーんだよ! 素直に!!」
アタシは作り笑いを浮かべた。
“作り笑い”は慣れてるから。
「わ――いっ! 沙希だぁ!!」
「……吃驚。泣いてるのかと思った」
翔が抱きついて来て、優輝が安心した様な声を漏らす。
「へへっ! 泣いてるワケないでしょ! 誰かさんが素直になるのを待ってたの―――っ!」
アタシは颯太に作り笑いを向ける。
「おまっ……」
颯太はアタシを見て、驚いた顔をした。
そして、口を噤んだ。
颯太を見てたら、心が壊されちゃいそう。
全部、見透かれそうで…怖い。
アタシは颯太から、翔に笑顔を向けた。