キミがいなかったらこんなに恋い願うこともなかったよ。
「梓は傷付けてはなりません
たとえ、彼が私を殺そうとしても。
梓は思い出さなければいけないから
私たちのことを」
そう・・・全てを思い出して私と共に在るべきなのよ、梓。
椿は明後日の方向を睨みつけながらそう言った。
「「・・・御意に」」
二人は椿に跪き、頭を垂れた。
*
瓦屋根の昔ながらの蔵の前に立つ梓。
ここを開けるのは一体何年ぶりだろうか。
ぼうっと扉の前で立っていると、後ろに人の気配がした。
「おぉーすげ、なんか古いな」
「そりゃそうでしょ あ、梓!」
駆け寄ってきた玲と京華を見て、梓は一つ息をついた。
「京華、久遠はいるか?」
「うん おいで、久遠」
自らの影に話しかけると、影が水溜まりのようになってその中心から久遠が出てきた。
久遠は身震いをして伸びをすると京華の肩に乗った。
「久遠、狐火をくれないか?」
『キュオ!』
梓は用意したランプに久遠が出してくれた狐火を閉じ込めると、それを玲に持たせた。
「じゃあ開けるからな」
そう言って蔵の南京錠の鍵を開ける。
扉はゆっくりと古めかしい音をたてながら中をあらわにした。
「うっわ、埃すごそうだな」
「暗くて中よくわかんないね・・・」
「玲、そのランプ貸せ」
梓が髪を一つにまとめながら言ってきたので、玲は素直に渡した。
たとえ、彼が私を殺そうとしても。
梓は思い出さなければいけないから
私たちのことを」
そう・・・全てを思い出して私と共に在るべきなのよ、梓。
椿は明後日の方向を睨みつけながらそう言った。
「「・・・御意に」」
二人は椿に跪き、頭を垂れた。
*
瓦屋根の昔ながらの蔵の前に立つ梓。
ここを開けるのは一体何年ぶりだろうか。
ぼうっと扉の前で立っていると、後ろに人の気配がした。
「おぉーすげ、なんか古いな」
「そりゃそうでしょ あ、梓!」
駆け寄ってきた玲と京華を見て、梓は一つ息をついた。
「京華、久遠はいるか?」
「うん おいで、久遠」
自らの影に話しかけると、影が水溜まりのようになってその中心から久遠が出てきた。
久遠は身震いをして伸びをすると京華の肩に乗った。
「久遠、狐火をくれないか?」
『キュオ!』
梓は用意したランプに久遠が出してくれた狐火を閉じ込めると、それを玲に持たせた。
「じゃあ開けるからな」
そう言って蔵の南京錠の鍵を開ける。
扉はゆっくりと古めかしい音をたてながら中をあらわにした。
「うっわ、埃すごそうだな」
「暗くて中よくわかんないね・・・」
「玲、そのランプ貸せ」
梓が髪を一つにまとめながら言ってきたので、玲は素直に渡した。