キミがいなかったらこんなに恋い願うこともなかったよ。
見覚えのある女に悩んでいると、その隣から別の声がした。
《・・いつまで俺はここにいたらいいんだ?》
あれ、なんだ どっかで聞いたことある声・・・
低い声の主を見ると、真っ白な髪を肩で切り揃えた男がいた。
その男の頭には黒いツノ。
紛れもなく鬼だ。
《もうちょっと! いいでしょ、梓!!》
《えぇ・・・ 俺ここ嫌いなのに》
あ、梓、だと・・・?
あの鬼が梓。
椿の大切な梓。
ゆっくりと踏み進め、その“梓"の顔をみて驚愕した。
・・・俺と、同じ顔だ
嫌そうな顔をしながら言葉を紡ぐ梓の顔は、間違いなく同一だ。
生まれてからずっと見ている顔を見間違うはずがない。
その場から動けずにいると、“梓"が桜の木に目をやろうとしていた。
その時。
目が、合った。
血のように真っ赤なその目が確かにこちらを見ている。
《・・咲、誰だあれは》
「・・・え、」
咲って・・・まさか
その結論に達した瞬間、目の前が桜の花びらに包まれ・・・ー
*
気づけばいつの間にか、目の前に二人がいなくなっていた。
ああ、戻ってきたのか・・・
立ち尽くしていると、目の前に月影が蜃気楼のように出てきた。
《・・いつまで俺はここにいたらいいんだ?》
あれ、なんだ どっかで聞いたことある声・・・
低い声の主を見ると、真っ白な髪を肩で切り揃えた男がいた。
その男の頭には黒いツノ。
紛れもなく鬼だ。
《もうちょっと! いいでしょ、梓!!》
《えぇ・・・ 俺ここ嫌いなのに》
あ、梓、だと・・・?
あの鬼が梓。
椿の大切な梓。
ゆっくりと踏み進め、その“梓"の顔をみて驚愕した。
・・・俺と、同じ顔だ
嫌そうな顔をしながら言葉を紡ぐ梓の顔は、間違いなく同一だ。
生まれてからずっと見ている顔を見間違うはずがない。
その場から動けずにいると、“梓"が桜の木に目をやろうとしていた。
その時。
目が、合った。
血のように真っ赤なその目が確かにこちらを見ている。
《・・咲、誰だあれは》
「・・・え、」
咲って・・・まさか
その結論に達した瞬間、目の前が桜の花びらに包まれ・・・ー
*
気づけばいつの間にか、目の前に二人がいなくなっていた。
ああ、戻ってきたのか・・・
立ち尽くしていると、目の前に月影が蜃気楼のように出てきた。