キミがいなかったらこんなに恋い願うこともなかったよ。
店に近付くと、柊弥がぎょっとした顔でこちらを見てきた。
「おま! そんな物騒なもん持ち歩くんじゃねぇっ」
「・・あ、鍛練の帰りだからしょうがないよ」
「ったく、平和なんだから必要ねぇだろ?」
溜息を付きながら言う柊弥に向け、苦笑いをする。
彼は、いやここの市場の彼らは知らないのだ。
鬼がいるということを。
「そんなことないよ 鬼とか出るし」
「馬鹿だな、鬼なんかいるわけないだろ!」
・・・ほら、やっぱり思った通りの答えだ。
がはは、と豪快に笑う柊弥。
何も言わずただ愛想笑いをしていると、不意に花の香りが鼻をくすぐった。
「お! いらっしゃい、ゆっくり見ていきな」
「・・・・」
柊弥が声をかけた客は中学生くらいの女の子だった。
白銀の髪を二つに分けて結んでいるその子は桃をずっと見つめている。
「桃、好きなの?」
玲が彼女に目線に合わせて座ると、女の子はびっくりしたのか目を少し大きくしてこちらを見てきたが、すぐに逸らされた。
・・あれ、シカト?
少しだけイラッとしたが、もう一度声をかけようとした瞬間女の子が口を開いた。
「おま! そんな物騒なもん持ち歩くんじゃねぇっ」
「・・あ、鍛練の帰りだからしょうがないよ」
「ったく、平和なんだから必要ねぇだろ?」
溜息を付きながら言う柊弥に向け、苦笑いをする。
彼は、いやここの市場の彼らは知らないのだ。
鬼がいるということを。
「そんなことないよ 鬼とか出るし」
「馬鹿だな、鬼なんかいるわけないだろ!」
・・・ほら、やっぱり思った通りの答えだ。
がはは、と豪快に笑う柊弥。
何も言わずただ愛想笑いをしていると、不意に花の香りが鼻をくすぐった。
「お! いらっしゃい、ゆっくり見ていきな」
「・・・・」
柊弥が声をかけた客は中学生くらいの女の子だった。
白銀の髪を二つに分けて結んでいるその子は桃をずっと見つめている。
「桃、好きなの?」
玲が彼女に目線に合わせて座ると、女の子はびっくりしたのか目を少し大きくしてこちらを見てきたが、すぐに逸らされた。
・・あれ、シカト?
少しだけイラッとしたが、もう一度声をかけようとした瞬間女の子が口を開いた。