キミがいなかったらこんなに恋い願うこともなかったよ。
鬱蒼と生い茂る森の中。
ざわめく木々の音を耳にしながら梓は久遠(?)についていっていた。
「なぁ、まだ歩くのか?」
『えぇ あと少しよ』
会話も少なく歩いているとある違和感が梓を襲った。
・・・風が、ない?
先ほどまで聴こえていた木の葉が擦れあう音が止んだのだ。
気付いた時にはすでに遅く、いつの間にか前にいたはずの久遠(?)がいなくなっていた。
「おい?! 久遠!!」
辺りを見回して適当に進んでいくと、開けた場所に出た。
広く、色鮮やかな花が目立つそこに特に目を惹くものがあった。
椿だ。
だが、今は秋。
咲くにはまだ時期が早い。
ゆっくりと椿に近付いていくと、何か歌のような高く澄んだ声が聴こえた。
「・・・誰かいるのか?」
「・・・!!」
尋ねると歌声は止み、椿の木の陰から女が出てきた。
雪のように真っ白な着物に、鮮やかな橙色の帯。
まるで白銀の様に光る髪。
透き通るような白い肌。
人間離れしたその美しさを持ったその女の一番印象的な特徴は、頭にあるツノだった。
ざわめく木々の音を耳にしながら梓は久遠(?)についていっていた。
「なぁ、まだ歩くのか?」
『えぇ あと少しよ』
会話も少なく歩いているとある違和感が梓を襲った。
・・・風が、ない?
先ほどまで聴こえていた木の葉が擦れあう音が止んだのだ。
気付いた時にはすでに遅く、いつの間にか前にいたはずの久遠(?)がいなくなっていた。
「おい?! 久遠!!」
辺りを見回して適当に進んでいくと、開けた場所に出た。
広く、色鮮やかな花が目立つそこに特に目を惹くものがあった。
椿だ。
だが、今は秋。
咲くにはまだ時期が早い。
ゆっくりと椿に近付いていくと、何か歌のような高く澄んだ声が聴こえた。
「・・・誰かいるのか?」
「・・・!!」
尋ねると歌声は止み、椿の木の陰から女が出てきた。
雪のように真っ白な着物に、鮮やかな橙色の帯。
まるで白銀の様に光る髪。
透き通るような白い肌。
人間離れしたその美しさを持ったその女の一番印象的な特徴は、頭にあるツノだった。