私の敵はチビ会長
ーーーーーーーー5分後
なかなか出来ないガトーにだんだんムカいてくる
なんか混ざらないし、グチャグチャだし
おおざっぱに適当にやったらよけい悪くなってきちゃった
『はぁ〜…。ちゃんと作り方みてるんだけどなぁ』
あたしは前田君が密かに置いといてくれたメモ用紙を手に取る
細かい字で丁寧にかかれたそれは前田くんの印象そのもので
さっきのいじわるな笑顔からは想像できない
でも…優しいかったり??
あたしはメモを見つめてため息
まぁ…優しかったら手伝うか
ふとメモごしに窓が見えてそこから楽しそうな運動場が目に入ってきた
いろいろな人が行きかっているお店に賑やかなステージ
綿菓子を買ってる子供もいれば、焼き傍をすするおっさんもいる
『楽しそ…。』
呟きにも満たない声
『じゃあ…行く?』
『えッ』
後ろから声がして振り返ったら前田くんが運動場に視線を移していた
てか、近いッ!!
あたしの髪に前田くんのほっぺがあたりそう
それに前田くんのすーととおるような爽やかな香りがやけに鼻をくすぐる
…会長とは違う香り
あたしは離れることも動くこともできなくてただどうしようもなく固まる
『聞いてる?』
『え…なにが!?』
首を傾げて聞いてくる前田君が少し可愛いくて
思わずキュンッとなる
それでも前田くんはあたしが話を聞いていなかったことが不満だったらしく
眉間にしわをよせると顔を近づけてきた
『返事は?』
『へ、返事って?』
動揺しながらも顔を後ろに引いて笑ってみせた
ひきつってて苦笑いになっちゃったけど
ていうかなにこの人!?
はじめて話したみたいなもんなのに…
近い!!!!