私の敵はチビ会長





『…それ…もしかして、彼女?』





奈梨は悲しそうな目でポツリとつぶやき俺から目線をはずした





奈梨の視線から開放されて一安心だけど



いまの奈梨の悲しそうな表情がきになってしょうがない




『彼女では…ないけど…』


途切れ途切れになりながらもしっかりとした言葉で話す




…なに動揺してんだか



自分の口が思うように動かない…きっと寒さのせい






『本当?』



心配そうにでもさっきより顔を明るくして奈梨が聞いてくる



その顔に俺も笑顔で『そうだよ』って言った




頬を少し染めて安心するように肩をおろす



その横でさっきから玲がニヤニヤしてるのがきになるけど…




玲も気になるけどやっぱ一番気になるのは志穂だ



さっきからずっと黙りっぱなし



俺に気をつかってるのか知らないけど、いくらなんでも静か過ぎ



俺は玲に向かって平然を偽りながら言う






『中はいれば?郁飲み物なくて荒れてたし…』

『そっかぁ〜♪分かった。行ってくんね。行こっ吋香!!』




え、俺?的な顔して驚いてる吋香を無視して強引に腕を引っ張ってく



…吋香腕もげそうなんですけど?





哀れみの視線を吋香に送ると俺は急に静かになった奈梨に向き直る




えっと…なんでここに残ってるわけ?





奈梨の行動が不思議で仕方がない



早く志穂と話したいのにこれじゃできねぇじゃん…。





『あ…のさ』

『ん?』

『私まだ、恭哉にメアド教えてないよね?…その…良かったら…』




恥ずかしそうに俯いてごにょごにょ話だす奈梨にまた不振感がつのる



それに、なんだかこっちも恥ずかしくなってきた




奈梨が次の言葉をだそうとしたとき













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