私の敵はチビ会長
「会長ぉ〜ッ!?決まったよ行くとこ!!」
運悪くどでかい大きな声と奈梨の声は被る
それは俺の手の中にあるケータイから発せられたもの
奈梨は驚いて目をまんまるく見開いてるし
俺は半ば呆れてケータイを見つめる
奈梨に『ゴメン』と言い、そしてゆっくりと耳に近づけると静かに言った
『うるさい』
「はぁ?なにそれ!?あたしが頭をつかって練ったのにッ!」
『はいはい…。えらいですね。よしよし』
「ムカつく。あんたが誘ったくせに…」
小声で電話越しにそうつぶやく志穂に笑いがこみ上げてきた
奈梨のまえだけど我慢できずに笑ってしまう
『プ…ハハハッ 分かったって。ごめんごめん』
「ちょっと!?なに笑って…」
…え?
俺が笑いをこらえてる間に気づいたときにはもうケータイは俺の手の中にはなかった
志穂の怒り声も途中から聞こえなくなり
聞こえるのは荒い息づかいだけ
『…奈…梨?』
俺のケータイを握り締め肩で呼吸をしてる奈梨
その目にはうっすら涙がたまっていた
…なんで?
俺の頭にははてなマークしかない
『…どうした?』
『…っハァ…ハァ…』
「ちょっとッ!?会長?」
ケータイからは志穂の焦った声が聞こえてくる
多分俺になにかあったとか考えてるに違いない…