私の敵はチビ会長
『返せよ?』
『…嫌。』
『なんで?どうした?』
『ッ!!あなた誰ッ!?』
は?
え、ちょっと…
マイクに向かって怒鳴る奈梨の声は耳が痛い
志穂にはかなりの衝撃だと思う
意味不明な行動に戸惑いを隠せない
『あなた、恭哉のなにッ!?』
興奮状態にあるのか俺の存在を忘れてる
「は?あなた誰?」
志穂も負けじと抵抗してるけど、勢いに押されて声がでてない
『って…おい。奈梨?』
少しずつ奈梨にゆっくりと近づいていくけど
奈梨をそれに気づいてケータイを握り締め遠ざかっていく
なんで下がるんだよっ
じれったくなって勢いよく奈梨の腕をつかみケータイを握る
『ちょ!?』
『あんまねじんなって!!痛いから…』
『ご、ごめん…。』
『いいよ、でもどうした?てか中で話す?震えてんじゃん』
『う…ん。ありがと///』
さっきまで目に涙をためてた奈梨は今度は
恥ずかしそうに顔を染めている
…はぁ〜…。
ひとまず落ち着かせて震えてた奈梨の肩に
部屋を出るときに着た自分のダウンをかけた
ビクッと体を震わせた奈梨だったけど小さくなってされるがままダウンを着る
俺はフッ…と笑みをこぼすと奈梨と手から気づかれないようにケータイをそっと抜き取った
そして一旦落ち着くため、通話を切る
ドアを開け、赤く固まった奈梨を入れ、
俺も中に入ろうとしたとき
ケータイの画面を見て驚く
『え…』
なんとメールが数十件…
なんだ…これ?
驚きのあまり声が出ない。
奈梨が心配そうにドアを開けて声を掛けてきたから
渋々ケータイを閉じて中に入っていく