私の敵はチビ会長
あたしが電話で白熱した言い合いを繰り広げていると
すっと耳に相手の怒鳴り声が聞こえなくなった
ありゃ…?
手を見るとケータイもない
ゆっくりと音のしたほうに顔をむけると
『どわっ!!会長!?』
『うん』
平然とした表情でたっている会長。手にはあたしのケータイが握られている
え…
もしかして…話聞かれてた?
あたしはとっさに会長に向けて苦笑いをしてこの状況を逃げようとした
けど、返された笑顔には暖かさがなくてとても冷たい
パキッ
『っ!?』
木の折れる音に思わず目をつぶってしまった
会長がすこし動いただけでもこの動揺…
恥ずかしい!!
そんなあたしにかかわらず会長はゆっくりとあたしの前に腰を下ろす
それに比例して心臓の音も大きくなっていく
『さっきの電話…誰から?』
『…と、友達』
『はい嘘。志穂は友達にあんなこと言わないだろ?』
声は低く怒っていて、あたしの体を強張らせる
やっぱり聞かれてたんだ…。
あたしの顔を覗き込んでくるけどあたしは見ようとせず、俯いた
握られたケータイはもう切られているようで声も聞こえない
すこし安心した反面悔しさが残っていた
『はぁ〜…あんま知らないやつの電話でんなよ?はい。』
深くため息をこぼしながらも優しくあたしの膝にケータイを置く会長
会長の顔を見れなくて黙って頷く
それでも納得したようにあたしの頭を撫で
『じゃあな?』
そういって去っていった
『…なによ。』
会長の足音が完全に闇に飲まれると同時にあたしは撫でられた頭に手を置いた