私の敵はチビ会長




思わず絡まっていた視線をはずし顔を背ける


心臓がドクドクうるさくなっていき、なぜか手が震える



少しの沈黙が続いた後、亜姑が静かに口を開いた


『…分かってたよ?藍川くんがもう私のこと好きじゃないって…。』

『…。』

『分かってた。藍川くんの好きな人』



…は?

好きな人?



唐突なことで驚いて顔を上げるとそこには意地悪そうに微笑む亜姑がいた


そんな顔、いままで見たこと無い



その表情にも驚いて目を見開くと亜姑がクスッと笑いを漏らす




『え…亜姑?』

『あははっ…藍川くんのその顔久しぶりに見た!!変わってないね。』



え…

えっ!?


楽しそうに笑う亜姑からはさっきの重苦しい空気などまるで感じられない




戸惑う俺をよそに、笑いながら亜姑は目を細めて俺を見つめる



『…変な感じで終わりたくないから、だからこういうのでいいの。私のせいで困ってる顔してほしくないもん!!』



亜姑は明るく言ってるつもりなんだろう…。


でも、俺は笑えない


亜姑が笑いながら泣いてるから



いくら楽しそうに振舞っても心は正直で、亜姑の目からは涙が溢れていく




『…あれ?可笑しいな。笑い過ぎたかも』

『…亜姑。』

『いいの!!気にしないで?とにかく、言えて良かったよ?藍川くんが怒ってないって分かって、すごく嬉しい!!これからも…いい友達でいてね♪』

『えっ…おい!!』



『じゃ!!』と、言いながら俺の前から走り去る亜姑



俺は追いかけれなかった

時間が止まったみたいにそこにたたずむだけ…。



俺的にはこんなふうに終わっちゃいけないって思うんだけど、亜姑がいいっていうなら仕方ない


なんてずるいことを考えてた。





『どうしよ…。』

















< 313 / 485 >

この作品をシェア

pagetop