私の敵はチビ会長







『…亜姑っ!!!!』


静かになっていたあたし達の間にまるで流れるように入ってくる声



それはまぎれもなく…

あいつのものだった






『…あ…藍川くん?』


パッと顔を上げた亜姑はあたしの後ろにいるらしい会長を見た瞬間、

いままでまるでカチカチに固まっていたなにかが溶け出すように一気に涙を流した




『あっ藍川くんっ!!!!』

『ハア…ハア…亜姑…。』



走ってきた会長はあたしのすぐ横で動きを止め、荒い息遣いだけが聞こえてくる



…あたしは急な会長登場に顔を上げれないでいた


とっさに俯いた顔は鉛のように重くて上げれない




『…ッウ…藍川っくん…言いたいことがあるっ…』

『うん…』

『〜っ私っ…ふられちゃったけど…ヒック…諦めきれないんだっ!!…だから…だから…っ…好きでいていいですかっ?絶対、絶対諦めるから…いまはまだ…好きでいていいかなぁっ?』



せきを切ったようにあふれ出す亜姑の気持ち


それ全部が素直な気持ちでなぜか暖かい気持ちになった




涙でグチャグチャになった亜姑の顔はすごく…すごく…綺麗に見えた





『…っ…んだよ〜。そんなことかよ…』

『…え?』

『そんなのいいに決まってるじゃん?…俺はさ、てっきり亜姑がまだ自分が悪いって思ってるのかと思った。泣いてたし…。』

『…いいのっ!?…好きでいて、いいの?』

『いいよ。じゃ、これ渡しておく』

『え…これ、なに?』

『メアド。またこっちきて迷子になられても困るからさ?』

『あ、ありがとっ!!!』

『え…なんで泣くの?』



今度は本当に嬉しそうに泣き出した亜姑を見て、

どうしようとか言いながら戸惑ってる会長にあたしは少し笑いを零してしまった

クルちゃんも呆れて苦笑いしながら2人を見てる















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