私の敵はチビ会長





『……志穂、なんか…あった?』



あいつらに気づかれないように、静かに呟く




志穂だけが聞こえてるはず


だけど、俺はなぜか志穂は冷静なんだと思い込んでた



泣いてる志穂を目の前にしても口調すら変えない




だから訳もなにも話さず志穂のことだけを聞いていた


志穂のことをまずなんとかしようとしていたんだ






でも、志穂は俺の言葉に息をつまらした



驚いてなんでって顔している






…なんで、



こんな顔すんだ?




なんでそんなに…



苦そうなんだよ




志穂の顔が表情が俺の心を震わす





さっきまで、



近くにいた志穂が




遠く離れていくような錯覚に陥った











『……なんで…?…なんでっつたの?』

『…し、…ほ?』

『…そんなん、あたしがなんでだよ……なんで、いつも会長は…』



心の奥の叫びを絞り出すかのような声に


俺は本当にわけがわからなくなって、混乱させられた



名前を呼ぶのが精一杯で、志穂の心には到底届かない






『……ッ…自分のこと話そうとしないの!!!?』





バシ






…え




あまりに突然の出来事





目の前には志穂が興奮したような顔で、目には涙が溜まっていた



胸が絞められるぐらい辛くて




でも、すぐに頬に激痛が走っていく




驚いて触るとチクッと痛みがはしって、腫れているのがわかる













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