私の敵はチビ会長
『……欄には、ちゃんとその気持ち言った?』
『…言って、なぃ……怖くて…言えないよ…』
身体が小刻みに震えて、不安になるほど欄が好きなんだとわかる。
俺は女を見ながらなにも言えないでいた
誰かにすがるんじゃなくて自分で我慢しようとしてるこの人は…
本当にこれでいいのか…。
後悔してるんじゃないか
色んな考えが交差するけど、やっぱり言いたいことは言えばいいと思う。
『……言ってきたら?』
『…え』
『だから言ってこいよ…あいつの好きな奴のために引くなんて馬鹿すぎ。だいたい…なにが怖いんだよ?』
めんどくさくにぶっきらぼうにそう言う
考えてみたら本当に馬鹿な答えしかでてこない。
だけどこの女が本気だったら、なんにも問題なんかないだろ?
想いを伝えて勝手に好きでいるのぐらいなんにも悪くない。
それでも欄がごめんって言ってきたらやめればいい
んな簡単なことで、志穂が巻き込まれてたまるか。
『……欄くんに…嫌われたくない…』
辛そうに絞り出した声
微かに俺の耳に聞こえた
それを聞いてまた不機嫌顔になる。
また馬鹿なこと言ってる…
俺は口を尖んがらせながら泣きつづける女に説教する
『…いいか?…あいつが想い伝えられて嫌うようなことするかよ』
図星とでも言うように口には出さなかったが俺の言葉にうろたえる女。
視線が俺、地面、壁、空とあっちこっちに泳ぎまくってる