私の敵はチビ会長
あたしの視界には紅葉が色づく。綺麗すぎて落ちる様まで目を奪われる
そんな風景を窓越しに眺めながらあたしはため息
いま、出校日てきなもので半ば強制的に集められる
みんなのやる気のない顔のなかで担任が元気よく話すのだ
…めんど
あたしはわざわざ話を聞くのが嫌で窓に視線を移してるってわけ
前の席の輝なんて机に隠れてケータイをいじくってるもん
あたしなんて軽いほう…
まぁ、輝は馬鹿だからしょうがないけど
キーンコーンカーンコーン
『おーっす終わるぞ!』
『『ありがとうございました』』
軽く頭を下げて帰る準備を整えていると未夜が話しかけて来た
今日は片方の髪を三つ編みに編んで固定してる
すごいカッコイイ
だけど、あたしの直感がなんとなく嫌なほうに反応した
初めてに等しいニコニコ笑顔の未夜は絶対変なこと考えてる
『ははっ…なに?』
『ん〜いや?志穂家帰んのかなって』
警戒してたのに、案外普通の質問に呆気にとられる
だから安心して
つい怪しい未夜に秘密にしていたことをバラしてしまった
この会話を他の誰かが盗み聞きしてるとも知らず
頭に手を置いてあたしは普段通りの声で話だす
『あたし実は…寮に泊まっちゃおうかと…』
ピク…
『…まじ?家に帰んないの?てか、寮電気止められるらしいからさ』
『ははっ…家はいっぱいいっぱいで…。でも秋だから涼しいし、楽だよ?』
ピク
『…そうなのかぁじゃあ輝のこと頼めないね…』
『…?輝がどうかした?』
『いやさぁ…私海外行くんだけど、いつも居候してくる輝はどうしようかと…』