私の敵はチビ会長
黙ってなにも言わないあたしに会長が困ったように顔を歪める
頭をかき、あたしに近づくとあの時のように手を頭に添えた
『!!…か、』
『気をつけて行けよ?志穂事故りそうだから』
言いたくても言葉をつまらせたあたしに
会長はそれだけ言って口角だけ少し上げると部屋に戻っていく
…なんだよ、
なにか言ってくれてもいいじゃん…
自分が約束したんでしょ?
だったら、
引き止めてよ
あたしはなにも言わずにまだかすかにある会長の体温に手を重ねる
会長は普通にこんなことするんだ…
あたしがどれだけ嬉しいかも知らずに
『…ねぇ、志穂達なんかあったの?妙によそよそしくない?』
さすが鋭い沙織は会長の後を目で追いながら、
あたしに問う
輝もウンウンと何度も頷いて、あたしは苦笑いしかできない
『べ、別になんでもないよ?』
『…本当にィ?最近、会長も志穂に喧嘩売らないし、なんか優しいし…』
沙織の言ってる意味がわからない
あたしは考え事をするように顎に手を添える沙織を目を見開いて見る
あたし達そんなにいつもと違ってみえる?
あたしは…
いつもと同じように接してるつもりだった…
困惑するあたしをよそに輝と沙織はまるで世間話をするように話し出す
どこかのおばちゃんみたい…