私の敵はチビ会長
『ッ!?…志穂?』
驚きの声が聞こえて、
チラッと視線だけ向けると目を大きくしてる龍而がこっちを向いていた
あたしと目が合うと一瞬だけ視線を落とし、
繋がれた手を見た龍而はまたあたしを見つめる
たぶん、どうしたのって思ってると思う
なんの理由もないあたしはただただ握りつづける
『……朝ごはん食べた?』
『え、あ…そういえば…クレープで埋めようかと思って…』
急に朝ごはんの話題をふられてオドオドするあたしに龍而はクスと笑う
あたしはあんまり目を合わせられなくて、
チラチラ見るしかできないのに龍而はずっと優しい顔であたしを見てる
それが妙に恥ずかしくて見てほしくないっていう感情にかられた
『実は俺も。なんか食おうぜ?』
『…うん。』
『なにがいい?』
『…スクランブル…』
『好きなの…?』
可笑しそうに顔を歪めると小さく頷くあたしに目を細める
う゛…
そんな顔しなくてもいいじゃん…
あたしは毎朝といっていいほどスクランブルを食べるのが日課になってて、
それを食べないといまいち調子がよくない…
今も若干そんな感じ
ププッと笑う龍而にムッとして変えてやろうと思ったけど、やっぱりどうしても食べたい…
あたしは黙って龍而の誘導されるがまま歩く
『着いたよ。…いくらでも大好きなスクランブル食べていいから』
馬鹿にしたように微笑むとササッと店内に入っていく
絶対あたしのこと馬鹿にしてるじゃん!!
子供扱いなんて絶対やだ!!
少し抵抗して扉の前で止まってみたけど、笑われるだけで…
全部あっちのペース