私の敵はチビ会長
あたしが笑ったことで龍而は一瞬頬を緩めて嬉しそうに笑う
だけどあたしはそれにも気づかない
『あはははッ!!い、痛いっ痛いよ!!…ッ…もぉ…』
『笑いすぎだっての。早く頼むぞ?俺これぇ〜』
目を輝かせながらメニューにあるオムライスをあたしに指して見せる
確かにオムライスはすごい美味しそうだけど…
ここまで嬉しそうにできる!?
子供かぁ!!
でも子供みたいな龍而も可愛いくて、あたしも一緒のものを頼む
そうすると更に嬉しそうな顔に花を咲かせる龍而
いつのまにか緊張もとけ、あたしも自然な笑顔で笑っていた
『お待たせ致しました。フワフワオムライス冬野菜添えです』
湯気がでているオムライスを器用に持ってきたのは玲で
綺麗にセットされた短髪の隙間からピンクのカチューシャが覗いてる
ナチュラルメイクは程よくて、真っ白なシャツにエプロンといったカフェスタイル
可愛い〜
あたしは見とれながらもオムライスを受け取り、
『ありがとう』と満面の笑みで微笑む
お礼を言われて頭を下げようとする玲はあたしを見て口を手で被う
目をまるくする玲に、
あたしはまずいと直感する
前には龍而がいるのにあたしがいま話かけちゃったから
龍而といることが玲にバレ、店の皆に広まっちゃう
『え〜…れ、玲?』
恐る恐る玲に話し掛けるとハッとしたように手を退ける
『あ…ごめーん。邪魔しちゃったね!…やっぱ彼氏?』
『なっ!!』
勘違いしてるから!!
えへへと笑みを零し、あたしと龍而を康晴さんみたく交互に見る
それからあたしに近づき耳に囁く
『…めっちゃイケてんじゃん。まぁあたしのダーリン吋香ちんには負けちゃうけどね』