Sleeping dream
【夢の始まり】
「いっただきまぁーす。」

私はハート型のお弁当箱を開けた。

次の瞬間、彼女はフォークで卵焼きを突き刺した。

卵焼きはそのまま彼女の口の中に吸い込まれてしまった。


「ちょっと、レナ!
 私の卵焼き!!」


彼女はいつも私のお弁当のおかずを一番に食べる。


“今日もグー!!”とちゃかすように言う。

今度は鳥の唐揚げを突き刺そうとする彼女の腕を掴む。


「ダーメ!!
 これは私のお昼なのぉ。
 レナちゃんはママが作ってくれ たお弁当を食べましょうねぇ。」


彼女はフォークを唇に当てたまま、口パクで“ケチ”と言っている。


教室ではお昼の校内放送をBGMにしながら、クラスメートがお弁当を食べている。

時折、笑い声も聞こえる。

彼女は諦めたのか、自分のお弁当箱の蓋を開けている。
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