Sleeping dream
マンションの近くには大学があり、昼間は若者が溢れている道には誰も歩いていない。


私は暗闇の中を必死で走った。


いつもは誰かに愛されたいと願っているくせにいざとなると、現実から逃げてしまう。



やっぱり、私は弱いんだ。


大きなスクランブル交差点の真ん中で足が止まった。


「……っ」


我慢していた涙が一気に溢れ出す。


「何やってんのよ……」



その場にしゃがみ込み、声を出して、泣いた。



ユウト、ごめんね……


私、ユウトの優しさを利用したんだね。


最悪な人間だよ。


ごめんなさい……



今になって、やっと自分が犯した過ちに気がつく。


今までの罰だ……


どうしてもっと早く気がつかなかったんだろう。


もっと早く気がつけば、ユウトを傷つけることはなかった。



「……ごめんなさいっ」





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