Sleeping dream
「私が…ユウを嫌いに?」

美央ちゃんはコクリと頷くと、透き通るような白い頬はピンク色に染まった。


「あたし、嬉しかったんです。
 お兄ちゃんに愛さんみたいな素 敵な人ができて。」


私は彼女の言っていることをきちんと理解できなかった。


ユウには私以外にもたくさん女の子がいる。


私よりずっと綺麗で可愛い女の子なのだろう。


それに第一、私はユウに“好き”とか“愛してる”なんて言葉をもらってない……


「美央ちゃん、私、ユウの彼女じ ゃないよ。
 それに……」


「知ってます。
 お兄ちゃんがいろんな女の人に 手を出してるのは。」


私の声に被せるように彼女は言った。


私の目をじっと見て、逸らそうとしない。

彼女の声のトーンは変わることなく、話を続けた。


「でも、女の人を家に入れている のを見たのは初めてです。
 きっと、愛さんのこと、大事な 人なんだと思うんです。
 だから、あたし、お姉ちゃんが できたみたいですごく嬉しかっ たんです。」


彼女の一言一言が私の胸に響いた。





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