Sleeping dream
「美央ちゃんは私のこと、美化し すぎだよ……」


広い店内に私の声はよく響く。


美央ちゃんは驚いた顔を私に向けた。


潤んだ目が揺れた。


「私は美央ちゃんが思ってるよう な素敵な人間じゃない……」


俯いて、両手でスカートをクシュッと掴んだ。


スカートにできたシワを数え始めた。


「私もユウと同じ事してる……
 男たぶらかしてるの。」

「そんな事…言わないで下さい…」


今にも泣き出しそうな声だった。



――ごめんね、美央ちゃん


私は美央ちゃんが憧れるような女じゃないんだ……


人一倍弱くて、自分に自信がなくて、寂しがり屋なの……


男で満たされない心を埋めることしかできない。


でも、いくら嵌めてもジグソーパズルみたいに綺麗に嵌まらない。


どこかに必ず隙間ができる。


何度やり直しても、一緒。


私は人を好きになるということができないみたい……


だから、ユウとはサヨナラしなきゃ。





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