Sleeping dream
私は当たり前のように伝票を持って、レジへと向かった。


涙が溢れそうだったけど、下唇を強く噛み、ぐっと堪えた。


数歩歩くと、彼女は強い声で私の名前を呼んだ。


「愛さんっ――!!」


振り向くと、か細い足で立っている美央ちゃんが切ない顔をしていた。


私の涙はまだ引こうとはしなかったけど、涙を見せないように目を必死に開けていた。


「どうしたの?」


今できる精一杯の笑顔で言ったつもりだった。


彼女の瞳にはどう映ってるのかな……


「お兄ちゃんは……
 愛さんのこと…好きだと思いま す……。」


美央ちゃんは声を搾り出すように話した。


彼女の言葉を聞くと、私の涙腺は壊れたみたい。


だって、こんなに涙が止まらないんだよ。





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