Sleeping dream
【夜に祈る事】
美央ちゃんと会った日から二週間が過ぎた。


あれから美央ちゃんと会うことはなかった。


あの後、何を言えばいいのか分からなくなって、“ごめんね”と一言だけ残して、店を飛び出してしまった。


勇気がなかったんだ。


ユウと会ったら、私の中の何かが壊れてしまう気がしたから。


楽しく話したことも笑い合ったことも失くなってしまう。


ユウトのこともまた傷つけてしまう。


だから、全部全部封印しよう。


なかったことにはできないから、楽しかった思い出として心の引き出しにしまっておくの。


たまに引っ張り出してはあの頃は楽しかったなって、思えるように。


それが今の私にできる精一杯の強がり。




ユウもそう思ってくれるよね。







それなのに……


――神様は意地悪だ。





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