Sleeping dream
家に着くと、急いでシャワーを浴びる。

下着は着けずに、部屋着に着替え、バスタオルで髪を乾かしながら、リビングに行くと机の上に一万円札とメモが置いてあった。


“愛ちゃんへ
 これで三日分です。
 しばらく帰れないけど、ごめん ね。
          ママより”


本当に思ってるのかよと思いながら、一万円札を見る。
諭吉が寂しそうにこっちを見つめてる気がした。


「あんたも寂しいわよね。」




冷蔵庫からミネラルウォーターの入ったミニサイズのペットボトルを取り出す。

テレビを付け、日課の柔軟をしながら、DVDに録っておいたドラマを見る。

毎日しておかないと、体が鈍ってしまう。



五十インチの液晶テレビに男女が抱き合う場面が映し出される。

――男が囁く。

“愛してるよ”


  女も囁く。

“私も愛してる”――



こんなこと世の中に本当にあるのだろうか。



少なくとも、私の周りにはない。
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