Sleeping dream
【水色のマフラー】
――カリカリカリカリ
   カリカリカリカリ


四角い箱には五十人近くがひしめき合う。


塾という組織に高い金まで払って、くだらない授業を受ける意味がたまに分からなくなる。



「えー、この式を微分し、ここに 代入する。
 えー、そして、これをえー……」


このおじさん、“えー”が多すぎるよ。
聞いてて、ウザったい。


あいつのせいで集中できない。


ペン回しをしながら、筆箱の中の紙切れに目を落とす。

あの日から一週間経つけど、今だにかけていない。


もしかしたら、かけられないのかもしれない。





授業が終わり、一番に教室から出た。

体は早く新しい空気を欲しがっていた。
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