Sleeping dream
薄暗い映画館は肩を寄せ合うカップルで溢れ返っていた。



“チケット買ってくるね。”と、彼は言い残して、行ってしまった。





デートの定番。


私も何度か連れてかされた。


でも、そんなの口実。


最終的にベッドに押し倒される。


ヤリたいなら、初めからそう言えばいいのに。





私は新作映画のパンフレットをパラパラと見ていた。


「愛ちゃん。
 はい、チケット。」

彼が後ろからチケットを私に差し出している。

私はそれを受け取り、見てみると、今流行っているアクション系の映画だった。


「ちょっと、こんなの見るの?」

彼は“これ、見たかったんだよねぇ。”と嬉しそうにしている。


「一体、何なのよ。」

私が呆れていると、彼は“愛ちゃん、行くよ”と、先に劇場に入ろうとしている。
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