Sleeping dream
「そういえば、もうすぐ誕生日よ ね。
 誕生日プレゼント何がいい?
 欲しい物言ってみなさい。」

彼女はフォークでトマトを突き刺した。

真っ赤なトマトは彼女の口の中へ消えてしまった。


「別にいいよ。
 子供じゃないんだから。」


「何言ってんのよ。
 勉強だって頑張ってるんだから 、誕生日プレゼントぐらい何か 買ってあげるわよ。
 机の上に置いてあった模試の結 果、見たわよ。
 すごいじゃない。第一志望がA 判定だなんて!」


「まだ高二だし。」



別に受験のために勉強してるとかじゃない。

親に何も言われないように、いい子ぶってるだけ。

学校でもそうだ。

先生にも友達にも好かれる可愛い“愛ちゃん”を作り上げる。

そうすれば、悪口を言われる事はないし、誰もが私の事を信じる。

だから、本当の自分を隠してまでも“愛ちゃん”を作り上げる。







彼女は諦めたのか、“また欲しいものがあったら、言ってね。”と、言って、カレーを食べだした。
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