Sleeping dream
何考えてるんだろう。
別にあいつが誰と一緒にいようが私には関係ない。
「上がろ。」
私はザブーンという音とともに一気に湯舟から出た。
体からは湯気が立っている。
まるで、茹でたての卵みたいだ。
バスタオルで体の表面に付いた水滴を丁寧に拭き取る。
洗面所の鏡が曇っている。
鏡のすぐ前にいる私の体さえも映してくれない。
世の中がこれくらい曇っていたらいいのに。
誰の顔も見えなくて、声だけ聞こえたらいいのに。
曇った鏡に指でハートを描く。
ハートの中を指で擦っていくにつれて、少しずつ私の顔が見えてくる。
ハートの窓の完成。
ちょうど私の目の部分だけが現れる。
目だけ見ると、子供みたい。
ハートの窓は次から次へと溢れ出す湯気でみるみるうちに消されていく。
曇り止めのボタンを押して、ネグリジェを着る。
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